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<<   作成日時 : 2018/10/19 18:48   >>

ガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 18 / トラックバック 0 / コメント 6

旧ブログ時代からの長いお付き合いのKMさんご逝去の報が届きました。
まことに残念なことです。
本ブログになってからは、コメントの交換は年に2回か3回に激減しましたが、2人だけのオフ会は継続してきました。
最後にお会いしたのはちょうど1年前。
昨年の10月10日でした。
その時は、鼻にカニューレを装着、重そうな酸素ボンベを携えながらのそば店巡りでした。
年内にまたお会いしたいと思っていた矢先の訃報でした。

KMさんの人となりをお伝えするのは、いかに筆の立つ自分にも(ペチ)容易ではありません。
俗世を超越した教養人。
漱石の作品に出てくる高等遊民。
自分はKMさんをリスペクトしていましたし、KMさんも自分をリスペクトしてくれていました。
そんな交流を一番よく伝ええると思われる記事をここに再録し、慎んでKMさんへの哀悼の意を表したいと思います。

合掌

(文中の古式蕎麦は既に暖簾を降ろされました。)



  * * * * * * * * * *



常識を超えたそば&アフター 手打古式蕎麦@文京区湯島(2015.8.19昼)

<< 作成日時 : 2015/08/21 18:11 >>

驚いた ブログ気持玉 22 / トラックバック 0 / コメント 8

先月、5年ぶりに再会したKMさんと、今度はおそばを食べに行ってきました。
KMさんのご推奨は古式蕎麦。
湯島のお店です。

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11時に御茶ノ水駅聖橋口で待ち合わせて、タクシーでお店に向かいました。
楽しかるべき車内でしたが、大変なことに気付き、顔面蒼白。
何と、何と、財布が見当たらないのです。
バッグに入れ忘れたのか、どこかで落としたのか。
家に電話してITに探してもらったところ、前日使ったバッグの中で発見。
嗚呼、オレも焼きが回ったなあ。

KMさん、内心呆れてらしたと思いますが、事情を話すと、「正直でよろしい」と、すっと1万円札を1枚差し出してくださいました。
いや、まったく以て面目無い。

さて、気を取り直して。。。

お店の前ですったもんだしてるうちに暖簾が出ました。
一番乗りです。

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古式の名にふさわしい歴史を感じさせる外観・内観です。
女将さんによると、34年目だそうです。

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まずはビールを。

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つまみは独創の“山揚げ”。
山芋をお団子状にして揚げたものです。
熱い出汁に入れて供されます。
サイズは並と小の2種。
KMさんのアドバイスで小さいのにしました。
これはなかなかの逸品です。
そもそもそばに芋は付き物。
揚げたって、どうしたって、合うものは合います。
これは小じゃなくても良いかも。

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こちらのそばは「甘皮入り特製粉を麺棒一本で打つ」のが特徴。
卓に置いてあった雑誌の切り抜きらしき印刷物にそう書いてありました。
“甘皮入り=挽きぐるみ”みたいですけど、そうなの?
甘皮を追加してるんじゃないの?
見たこと無いような変わったそばなんですけど。
どう変わってるかは、また後で。w

麺棒一本というのは江戸そばじゃなくて、田舎そばですという意味ですね。

代表メニューは“古式もりそば”。
「大根のしぼり汁としょうゆで食します」
江戸そばの古い形というより、越前そばに近いような気がしますね。

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大根汁はかなり辛いです。
辛味大根を使った“辛味大根古式もりそば”というのも別に有るので、こっちは普通の大根のはずですが、十分過ぎるぐらいに辛い。

しょうゆはコクの有る美味いしょうゆです。
かえしの役割を果たしています。

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薬味が充実。
山葵、浅葱に花鰹。
大根汁としょうゆの配合、薬味の組合せで味を自分で作りながら、食すのが「古式」のようです。

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さて、これが問題のおそば。
どうです。
すごいでしょう。
単なる挽きぐるみじゃここまで黒くはならないと思うんですけど。
玄挽きより黒いのは何故?
常識を越えています。

食味もやはり独特。
平打ちの乱切りで、やや粗挽きですから、つるつるとはいきません。
ただ、比較的短いので、ズズッと啜るのは可能。
香は極端に強いわけではありません。
強い弱いというより、香の質が違うような。
ちょっと説明し難いけど、やや熟成的な香と言うべきか。

いろいろと調合を変えて食べてみました。
まずは大根汁にしょうゆをちょっと。
漸次的にしょうゆを追加すると、コクが感じられて、食べやすくなります。
浅葱を投入すると、現代のつゆに近づいたような気がしてきます。

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KMさんの薦めで、花鰹にしょうゆを垂らして、大根汁抜きでも食べてみました。
これも、ほう、悪くないですね。
工夫次第で、色々楽しめるのも「古式」の良いところかもしれません。

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そう。
そばは大盛りにしました。
そばの山が3つ。
きっと並は山が2つで、大盛りは5割増しなんでしょう。
けっこう食べ出が有りました。

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蕎麦湯は湯桶じゃなくて、湯飲み茶碗みたいな器で出てきます。
注ぎにくいですけど、これも「古式」と思えば、風情さえ感じられるというものです。w

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「古式」以外では割子そばが珍しい。
出雲のご出身なのでしょうか。
ネット上ではそういう情報も見えますが、確認はしませんでした。

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他のお客さん達は常連さんが多いのかな。
わざわざ遠征してきたと思われる人はいなかったような。
割と年齢層が高いようにお見受けしました。
店主、女将とともに歳を重ねているのでしょう。
お二人ともお元気なご様子。
まだまだ「古式」を守って、お店を続けてほしいものです。
ご馳走様。


 * * * * * * * * * *


そして、アフター。

御茶ノ水に戻って、お茶でもと思っていたら、KMさんから驚きのご提案が。

「先生のお宅に行きませんか」
「!」

先生というのは、KMさんとの会話の中でしばしば登場する謎の人物です。
勝手な連想ですけど、「先生」と聞く度に、漱石の『こころ』に出てくる「先生」みたいな人をイメージしていました。
それと映画『タンポポ』の中で使われた、東海林さだお描くところの「無斎先生」。
その2人の先生を足して2で割ったような存在。

「自分が行っちゃって良いんですかね?」
「大丈夫」
「アポ無しで?」
「大丈夫」
「お一人暮らしなんですか?」
「いえ、奥様がいらっしゃいます。秘書もいますし、書生も置いておられます。」
「きゃあ〜(心の叫びw)!」

半信半疑のうちに再びタクシーに。
そして、凡俗を超えた、さらなる非日常の世界へ。

「先生」は本当に先生でした。
もうご高齢で引退されていますけど、港区の方の大学の教授でいらした方です。
ただKMさんの大学時代の指導教授だったわけではありません。
その点は『こころ』の「先生」に似てなくもないですね。

元々は趣味の世界で知り合われたようです。
蝶の収集、研究。
しかし、「先生」は趣味の世界の先生に止まらず、食に関しても「先生」であり、延いては、人生の「先生」ともなった。
具体的なことは書けませんが、そういうことのようです。

「先生」は、突然お邪魔した自分のような若造も当然のように受け容れてくださり、客人として扱ってくださいました。
芳名帳に記帳せいと言われた時は面食らいましたが。
(ノーベル賞受賞者8人が記帳したと言われたら、自分なんかが汚しちゃって良いの?と思いますよ。)

趣味の世界のことは自分にはわかりませんでしたが、食の話題は楽しく拝聴しました。
池の端藪でざるそばを十枚食べたとか。
竹やぶの店主とは柏の店が出来た時からのお付き合いだとか。
古式では、裏メニューなんでしょうか? いつも「白いそば」もいっしょに食すとか。
そば好きにとって面白いお話もいろいろと伺いました。

KMさんは当初夕食までいっしょにと考えてらしたようですが、生憎自分の事情が許さなかったということもあり、常識を超えない時間に暇乞いを。
後ろ髪を引かれる思いで。

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財布を忘れて1万円を拝借したことから始まって、常識破りの黒いそばを食べ、俗世界を超越した「先生」と語らい。
何と波瀾万丈w、不可思議な1日だったことか。
二郎府中店で偶然に出遭ったKMさんと自分。
こんな時間をともにするようになろうとは。
もはや単なる「ラー友」を超えてます。
有り難うございました。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
この湯島の古式蕎麦の話、謎の先生宅訪問を含めてはっきりと覚えています。
この記事を読んで、りうさんの交際範囲の広さに感嘆したものですが、その時のお連れのKMさんがお亡くなりになったのですね。
鼻にカニューレを装着した、重そうな酸素ボンベを携えながらのそば店巡りに執念のようなものを感じます。
しかし、今回りうさんからお聞きするまでは、そんなイメージは微塵も感じさせなかったところは、りうさんの配慮だったのでしょう。
リスペクト出来る友を失うということは誠に寂しいものです。
存じ上げない方ですが、KMさんのご冥福を祈ります。



2018/10/21 22:19
大切な方との永遠のお別れは辛いですよね
自分もこれまでの人生で何度か経験していますが、本当に寂しいですよね
お気持ちお察しいたします
命あるものはいつかと言う事は頭では分かっていますが、けして納得できる事ではありませんよね
大分前ですが親しい人の葬儀が終わった後、僧侶が「無常」と言う言葉を使って説法された事を今でも覚えています
だからこそ、何気ない毎日を大切に生きなければならないのでしょうね・・・
ゆけむり
2018/10/22 07:19
達さん

お悔やみの言葉、有り難うございます。
自分としてもこの記事は力作のように感じて、気に入ってました。w
訃報を伝えてくれたのは、かつてのラーメン仲間で今も時々会っている人です。
昨年お会いした時には鼻カニューレを装着していたにもかかわらず、100メートルぐらいゆっくり歩いては休憩しの繰り返しでした。
それでもオフ会を継続しようとするKMさんの姿に、食に対する、あるいは人生に対する不退転の決意を感じました。
そういうことは記事には書けませんでしたが、心の中ではずっと気になっていました。
現実に訃報に接し、来るべき時が来たという想いです。
今もKMさんのブログは消えていません。
管理者が他界した時、ブログなどのアカウントはどうなるのか?
よく話題になりますね。
なんだかとても気になります。
りう
2018/10/23 22:56
ゆけむりさん

人の死についてブログに掲載するのはどうかと少しためらいましたが、ブログで結ばれた間柄なので、ブログで弔おうと記事にしました。
淡いながらも貴重な交際でした。
広い意味でグルメが取り持った間柄ですが、会えば、食の話はそこそこに、いろいろな話をしました。
KMさんは理系、自分は文系的な人間ですけど、そういう枠を超えて、専門的なことを語り合ったり。
そういう話ができる相手がいないといつも嘆いておられました。

「無常」
そうですね。
「無常」だからこそ、今を大切に生きる。
大事なことですね。
有り難うございます。
りう
2018/10/23 23:08
おはようございます!
気になりますね…( *´艸`)
どのようなお方…
おばかな私には、何を話されているのかも分からないかも知れませんね…
ちぃ
2018/10/26 10:26
なかなか巡り合えないようなお方でした。
人づきあいが苦手で、世間の狭い自分が巡り合えたのは奇跡かもしれません。
返す返すも残念です。
りう
2018/10/26 23:18

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