京阪の旅⑤ 隆兵そば@京都市西京区(2015.11.8夜)

夕方、大阪から京都へ移動。
グルメ友の達さんと阪急大宮駅で待ち合わせて、一路達さんが予約しておいてくださったお店へ。
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隆兵そば。
八条通を西進し、桂川を渡ってすぐの路地奥にひっそり佇む、これぞ隠れ家といった趣の小さなお店です。
公式サイトを見ると、「桂川の橋のたもとに古くからある『まんじゅう屋』が生家」と書いてあるので、ご主人は表通りにある中村軒のお坊ちゃんなんですかね。
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店舗は古民家風。
個室が2つにカウンター。
たぶんそれだけ。
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                 カウンター席

いずれもスペース的にはごく小さいので、大勢さんでのお食事は難しそうです。
花番さんに招じ入れられたのは、3畳ほどの小部屋。
テーブル席です。
部屋の入口は引き戸ではなく、暖簾。

メニューは基本的にミニセットかコース。
毎月末のみ、単品営業だそうです。
達さんのお計らいで“夜の特別コース”というのをいただきました。
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まずビールで乾杯。
ハートランドです。
おそば屋さんはハートランドを置いてるところが多いですね。
苦味が弱く、フルーティーでそばの繊細な味を損なわないから?
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お通しは定番の揚げそば。
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コースはそばがきのお椀で始まりました。
鯉こく仕立てです。
こちらは海の魚は使わないんだそうです。
京の地物を使う。
必然的に淡水魚に限られます。
それも見識でしょう。
鯉こくは骨に悩まされるのが常。
しかし、このそばがきは鯉の切り身が入っているわけではなくて、骨の心配無しに、鯉を味わえます。
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次が先付的な位置づけの“竹かごの盛り合わせ”。
5種盛りです。
手前左から時計回りに鯉子煮、焙煎粗びきそば、かぶらの柿ソース、そば茶角、そして中央が胡麻豆腐雲丹乗せ。
この時季、鯉子は珍しいですね。
鱈子よりちょっと大粒で、その分食感も粒々感がちょっとあり。
粗びきは玄そばをローストしてるわけ?
普通の粗びきとどう違うのか気になりましたが、う~む、ロースト感は感知できませんでした。
風味には響かないようなレベルの話なのでしょうか。
かぶらは京らしさを感じます。
柿をおろしたソースはもちろん季節の味を演出するための工夫でしょう。
そば茶角はそば粉のビスケット。
かなり硬かったです。
胡麻豆腐に乗ってるものは、検索してみると、泡醤油となってます。
いつもはそうなのかな?
雲丹のような気がしましたが。
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お酒は京の酒が呑みたくて、澤屋まつもとの純吟を頼みました。
呑み口は。。。忘れました。
普通に美味しかったと思われます。(笑)
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そうそう。
忘れてはいけません。
こちらのお店は水にこだわっていらっしゃいます。
公式サイトのこだわりのページでもトップは水。
地元桂の井戸水に誇りをお持ちのようで、お茶ではなく、水が供されます。
達さんは焙煎粗びきをコップに入れて、水そばを作っておられました。
自分は図らずもたかまで水そば(w)を食べてしまったので、達さんのを見るだけにしておきました。
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お造りも鯉です。
鯉の刺身は先日も食べたばかりですが、一味違いました。
良い水で育てているということと、洗い方の違いか。
海の白身魚と較べても遜色無い、良い肉質でした。
皮の湯引きが添えられていました。
川魚をよく食べる埼玉人の自分も鯉の湯引きはさすがに初めてです。
山椒で香付けしたポン酢で食べます。
京料理は山椒をよく使いますね。
それともこのお店の特徴かな?
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次は名物ぶぶ天。
鱧と長芋の練り物にあられをまぶして揚げたものをお茶漬け風にした料理です。
名前からして、いかにも京風で良いですね。
ほぐして食べるのかと思いきや、けっこうしっかりしていて、突いても崩れず、齧って食べました。
達さんは、京料理のいろはも知らない自分のことを慮って、ぶぶについて懇切に説明してくださいました。
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ここで中そば。
盛です。
先付けの粗びきに対して、中そばは細粉の標準的な十割そばです。
香控えめ。
味も。
でも、水切りがしっかりされているので、そば本来の味が損なわれていません。
そして喉越しが良い。
良いそばです。
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盛汁は、花番さんが濃いと言ってた様に、本当にかえしそのものみたいな濃さです。
でも相当熟させているらしく、舌にはやさしい味です。
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蕎麦湯には具が付きます。
湯葉と生麩と青ねぎ。
蕎麦湯も一品です。
それにしても、具まで出てくるなんて初体験です。
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足りなかったらと汁の追加分も。

次から次へと意表を突く趣向が出てきて、飽きさせないですね。
わ~すごいと思ったら、次はさらに上回るお品が出てくるから。
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進肴はすっぽんスープ。
お餅も入ってるので、すっぽん雑煮かな。
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達さんとコースを食べると、すっぽんが出ますね。
佳蕎庵を思い出しました。
コラーゲンたっぷりで美味しくて、贅沢な一品。
シ・ア・ワ・セ。
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すっぽんで高まったテンションを維持するのは大変です。
しかし、隆兵さんはうなぎで難無くその課題をクリア。
うなぎの飯蒸し、もち米を使ったうな丼です。
うなぎがまた月並みではありません。
蒲焼きっぽくないんですよ。
タレを付けて焼いた感じがしない。
技ですね。
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ご飯ものですから香の物も出ます。
紅芯大根と生姜の梅酒漬け。
自家製でしょうかね。
梅酒漬けは買えるものなら通販でも買いたいぐらいでしたが、残念、お土産リストにないですね。

〆のおそばはかけ。
追加料金で、たね物に変更できますというご案内。
迷わず鴨そばに変更してもらいました。
正確に言うと、変更した達さんに便乗しました。(笑)
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追加と言えば、お酒も。
今度は“店主のきまぐれ酒”の弥栄鶴。
京丹後のお酒です。
書き忘れましたが、1合目の澤屋まつもとの純吟を頼んだ時に蕎麦味噌が出ました。
真っ黒な味噌でしたが、味の方はマイルド。
これは200円で追加できますというご案内。
花番さんは営業担当でもあるようです。
言われて断らないのが達さんです。
自分もご相伴に与りました。
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鴨に戻ります。
鴨肉はスライスとつくね。
食べ応え十分です。
ねぎは笹切りっぽいのがちょっと乗ってるだけで、これは意外。
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そばは盛りよりたぶん太切り。
かけ汁の中でもへたれないようにという配慮でしょう。
写真撮影で多少伸びても全然問題無し。
つゆは京風とは違うような。
けっこう濃口的に濃かったです。
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デザートは梨とそばチョコ。
ダジャレですね。
揚げそばをチョコでコーティングしたポッキーみたいなお菓子です。
画像で奥に見えるのはそば茶。
そばの実が入ってます。
まったくお茶まで一工夫なんですねえ。
脱帽です。

京都のおそば屋さんはほんの数軒しか知りませんが、隆兵そば以上の贅沢ができるお店ってそうはないでしょう。
隠れ家的店舗、落ち着ける個室、ちょっと営業するけど気持の良い接客と環境的にも申し分無し。
アクセスは良いと言えませんが、アクセスがあまり良くないからこそ保たれてる環境かもしれません。
達さんのおかげで、また自分のそば歴に輝ける1ページが加わりました。
どうもご馳走になるばかりで申し訳ないです。
次は東京でそば懐石をぜひ。
お待ちしております。
ご馳走様!


PS:室内の照明がかなり抑えられていたので、画像は明るさを大幅に修正しました。

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この記事へのコメント

2015年11月16日 01:29
驚きました。
料理ひとつひとつとっても、また流れをとっても繊細によく吟味されていますよね。
蕎麦湯の具までとは。
いい時間を過ごされましたね。
2015年11月16日 02:03
達さんの仰る通りやわ。同じお店に行かれた記事を拝見して、こ~~んなにも印象って違うものなのですね~~~。あえて、どちらかどうと不粋なことは申しません。

ただ一言だけ、、、りうさんの素敵な文章から達さんへの深い愛とリスペクトを感じました。
2015年11月16日 13:40
りうさんに喜んで貰って嬉しいです。
僕は蕎麦懐石は普段行かないので比較の対象が少なく、隆兵がどのレベルにあるのか分からなかったから、りうさんがレベルが高いと評価されるなら、もう一度行ってみようかという気になれました。
さて、今度は誰と行くかな?(笑)
もう少しお蕎麦の数が多くても良いかなと思いましたが、1つ1つの料理が素材の質も良くて楽しめましたね。
青葱が少ないのは鴨や出汁の味を大きく変化させないための配慮なのでしょうか?
2015年11月16日 21:39
HANDSOME DANさん

はい。
至福の時間でした。
京料理はそれこそ計り知れない奥深さがあるのでしょうけど、自分として味わい切れそうなレベルでの限界に近い素晴らしいコースでした。
一見地味ですけど、南画的な雅趣が感じられるお店であり、料理でもありました。
また行きたいです。
2015年11月16日 21:52
うきさん

感動の小宴でした。
その感動をお伝えしたかったのですが、生憎二日酔いでの執筆で、自分としては書き切れてないような気がして、不満なんですよ。
何故、二日酔いか。
いずれ記事の中で当たり障りのない範囲で説明することになるでしょう。
達さんは年長者でいらっしゃるし、人間的に敬愛すべきお方ですからね。
直に接すると、誰でもファンになりますよ。
うきさんも瞬殺でしょう。
2015年11月16日 22:02
達さん

本当にご馳走様でした。
感動の2時間でした。
そば懐石のお店はそう多くはないですね。
自分も東京で3軒ほど行ったことがあるだけです。
いわゆるそば前+そばとは違って、フォーマルに使えますね。
接待とか。
隆兵そばなら、一見さんが垣間見ることのできない京の深奥に遊んでいる人でもない限り、まず納得してくれるんじゃないでしょうか。
そばの数はスターターと中そばと〆そばが普通のような気がします。
それぞれ量が少なめなので、達さんには足りないですかね?
優秀なそば職人でもそばがき混じりで、3種ぐらいしか自信をもって提供できるそばは打てないのではないでしょうか?
単なる推測ですけど。
葱は常識に拘泥せずに、実質を選択したようですね。
2015年11月19日 14:29
素晴らしい蕎麦懐石ですね!
自分も体験してみたいですが、こちらこそ食べ手を選ぶ感じがしてしまいます
と言うよりも、自分ような蕎麦の事を知らない者が食べにいくらべきではありませんね(笑)
素晴らしいの一言です
本当にうらやましいです!
2015年11月19日 21:10
ゆけむりさん

多少のそば経験のあるお客さんでも、わくわくさせるような工夫がなされています。
でも、味わい自体はきわめて穏当で、京都のそば店として範を越えていませんから、そばをあまり食べつけない人も安心して食べられると思いますよ。
でないと、マニア相手になってしまって、接待では使えませんよね。
と、エラそうなことを書いてますが、その場ではただただ「すごい」と感心するばかりでした。(笑)

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